古代史ロマン！「天上の虹」
「天上の虹」とは、巨匠里中満智子が描く、女帝「持統天皇」の物語だ。ただの歴史漫画ではない。愛とは何か。日本人とは何か。女性とは、男性とは？自分が現代に生まれてきた意味さえ考えさせられる、雄大な歴史に翻弄されたひとりの女性の人生物語なのである。
主人公である後の持統天皇は、中大兄皇子の子として生まれた。時は飛鳥時代。中臣鎌足と中大兄皇子が、蘇我入鹿を倒した「635年 大化の改新」の時期である。詳細は漫画を読めばわかるが、母は父によって狂い、祖父は父によって殺され、夫は父によって出家した。しかし漫画ではそれを「完全なる不幸」とはしていない。
彼女の人生に大きな影を落としたことは確かだが、彼女はそれを内発的なモチベーションに変えた。おそらく、自ら果敢に挑戦していく気質溢れる女性だったのではないか。古代悠久ロマンを味わいながら、女性としての生き方も学べる、そんな素晴らしい漫画である。是非ご一読願いたい。