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重く深い絶望の余韻がのこる漫画「よるくも」

漆原ミチ著「よるくも」。殺人を生業とする男と、町で生きる少女が出会い、お互いの欠けた部分を補おうとする人の業を描いた作品です。設定だけ見るとありふれた映画のような物語に感じますが、この物語の魅力は、現実ではありえないダークな世界感と歪んだ倫理観。その中でそれぞれの登場人物が、自らの欲望や運命・葛藤がぶつかり合う物語です。

 

一読しただけでは気づかない大量の複線が、たくさんの人間を翻弄する様に惹きつけられます。複線の示すことに気づけば気づくほど、絶望に叩き込まれる展開が非常に斬新です。

 

食べること、生きること、そして愛することを深く描いたこの作品は、人間が生きる「業」について深く描いています。既刊4巻までではまだ深い絶望を味わう作品となっていますが、今後どのような展開で何を作者は描こうとしているのか。回収されていない複線もあることから、今後が非常に楽しみな作品になっています。